皆さんの大半は、日々の生活資金や将来のためのお金を銀行に預けているのではないでしょうか。
キャッシュレス化が進んだ現在、現金をほとんど持たず、生活資金や老後資金の大部分を銀行口座で管理している方も少なくありません。
では、その銀行に預けている資金は、万が一のときにいくらまで補償されるのでしょうか。
昨今の経済情勢や世界的な金融不安を踏まえると、「大手銀行に預けていれば安全」と言い切るのは、もはや現実的とは言えません。
本記事では、銀行に預けた資産はいくらまで補償されるのか、そしてその補償制度から見えてくるリスクと対応策について、わかりやすく解説します。
1.銀行が倒産したら預金はどうなる?補償される金額の仕組み
日本の銀行は、預金保険機構が定める「預金保険制度」に基づいて補償を行っています。
これは、銀行が万が一破綻した場合でも、預金者の生活や経済活動を守るための制度です。
この制度では、
- 1金融機関あたり元本1,000万円まで
- 破綻日までの利息分
が保証されます。
たとえば、A銀行に普通預金で800万円、定期預金で300万円を預けていた場合、合計1,100万円のうち保証されるのは1,000万円とその利息までです。残りの100万円については、破綻した金融機関の財産状況に応じて返還の可否が決まります。
一方で、外貨預金や譲渡性預金、金融債などは補償対象外となり、状況によっては一部がカットされる可能性もあります。
この補償ルールは、銀行の規模や知名度に関係なく、大手銀行・地方銀行を問わず共通です。
当座預金や利息の付かない普通預金などの決済用預金は、例外的に全額保護されます。
2.証券会社の資産は2重の補償制度で守られている
では、証券会社が倒産した場合、投資家の資産はどうなるのでしょうか。
証券会社には、以下の2重の補償制度があります。
① 分別管理
証券会社では、金融商品取引法により、顧客から預かった現金や株式、投資信託などを、会社自身の資産とは完全に分けて管理することが義務付けられています。
そのため、仮に大手証券会社が経営破綻した場合でも、原則として顧客の資産はそのまま返還されます。
② 投資者保護基金
万が一、分別管理が適切に行われていなかった場合などの特殊なケースでは、1顧客あたり1,000万円を上限として補償される仕組みがあります。
このように、証券会社では「分別管理」と「投資者保護基金」という2つの制度により、倒産の影響を受けにくい構造になっています。
3.銀行だけで大丈夫?証券会社も活用すべき理由
上述の通り、補償制度の観点から見ても、銀行だけに資産を集中させることは、非常にリスクの高い行動です。
また、すべてを貯金で保有していると、インフレによって実質的な資産価値が目減りする可能性もあります。
一方で、証券会社を通じて投資信託や株式、ETFなどを保有すれば、
- 経済成長の恩恵を受けられる
- 銀行の補償上限リスクを分散できる
といった効果が期待できます。
4.預金額が1,000万円を超える場合のリスクと対応策
1つの銀行に預けている金額が1,000万円を超えている場合、
その最大のリスクは、超過分が補償されない点です。
たとえば、1つの銀行に2,000万円を預けている場合、補償対象は1,000万円とその利息までです。残りの1,000万円は、破綻後の状況次第では、一部または全額が戻らない可能性があります。
このような事態を避けるためにも、以下の対応策を検討することが重要です。
対応策①:複数の銀行を活用する
最もシンプルで確実な方法は、複数の銀行に預金を分散することです。
預金保険制度は金融機関ごとに適用されるため、2,000万円の貯金がある場合、銀行Aと銀行Bに1,000万円ずつ分ければ、制度上は全額が補償対象になります。
対応策②:決済用預金を活用する
日常の支払いや引き落とし用の資金は、決済用預金を活用するのも一つの方法です。
決済用預金とは、「①無利息」「②要求払い(いつでも引き出せる)」「③決済サービスに利用できる」という条件を満たす預金のことで、預金保険制度上は金額の上限なく全額が保護されます。
一見すると非常に安全な預け先に見えますが、利息が一切付かないため、長期的に資産を置くとインフレによって実質的な価値が目減りします。
そのため、決済用預金はあくまで日常決済や最低限の生活防衛資金に限定して使うのが現実的で、対応策としては△といえるでしょう。
対応策③:証券会社を活用する
1,000万円を超える資金については、証券会社で投資信託やETF、株式として保有することも有力な選択肢です。
銀行預金として低金利で保有するのではなく、長期的な成長が期待できる資産に振り分けることで、インフレによる目減りリスクも抑えられます。
「卵を1つのカゴに盛らない」
この考え方は、金融機関の選び方にも当てはまります。1つの銀行に資産を集中させること自体が、リスクになり得るのです。
まとめ|補償制度を理解し、資産を守る土台を作ろう
銀行預金は預金保険制度により1,000万円とその利息までが保証され、証券会社では分別管理と投資者保護制度によって顧客資産が守られています。
しかし、どちらの制度も万能ではありません。
だからこそ、「どこに預けるか」だけでなく、「どう分けるか」を意識することが、資産を守る第一歩になります。
投資を考える前に、まずは補償という土台を安定させることが大切です。
補償制度を正しく理解し、リスクを抑えながら長期的に安心できる資産設計を考えていきましょう。


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