米国株投資に興味がある方の中には、「値上がり益も欲しいけれど、できれば分配金も定期的に欲しい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
米国株投資といえば、日本の投資信託である「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「オルカン」が定番の投資先になりつつあります。
一方で、これらのファンドは分配金が基本的に出ないため、値上がりしていても、実際にリターンを受け取っている実感がわきにくく、物足りなさを感じるかもしれません。
私自身も「値上がり益に加えて、分配金も欲しい」という思いがあり、そうした欲張りなニーズに応えてくれる銘柄を探していたところ、「SPYD」(正式名称「ST SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」)を発見しました。
「高配当ETFはおすすめしない」と言われることもありますが、私自身、2018年に購入し現在まで8年以上保有し続け、その結果として、このETFは持ち続けてよかったと感じています。
本記事では、その理由に加えて、本ファンドのの特徴と魅力、そして保有にあたってのリスクや注意点について、私の実体験を交えながら分かりやすくご紹介していきます。

SPYDは外国株式に分類されるため、ネット証券口座で購入する際は、新しく『外国株式の取引口座』が必要になります。まだ口座を持っていない人は申請が必要ですが、開設は比較的簡単なので、ご自身の証券口座を確認してみてください。
【特徴】低コストと分散投資
「SPYD」(正式名称「ST SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」)は、2025年10月31日に、銘柄名が「SPDR S&P500 HiDiv」から「ST SPDR S&P500 HiDiv」へ変更された米国株ETFです。
概要は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設定日 | 2015年10月21日 |
| 運用会社 | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA) |
| 経費率 | 年0.07% |
| 連動指数 | S&P 500 High Dividend TR USD |
| 投資対象 | S&P500採用銘柄の中から配当利回り上位80銘柄に等金額で投資 |
| 投資地域 | 米国 |
| 分配金 | 年4回(3月6月9月12月) |
| 分配利回り | 約4.34% |
| 現在値(2026/1/23終値) | 44.98ドル |
| 純資産総額 | 7,233.51百万米ドル(2025/12/31時点) |
上記の通り、運用方針としては、S&P500構成銘柄の中から配当利回り上位80銘柄中心に組み入れるETFであり、経費率も0.07%と非常に低コストで米国高配当株式に分散投資できる点が特徴です。
また日本の投資信託であるオルカンやS&P500は、円建てでの保有となりますが、
一方SPYDは米国の投資信託であるため、外貨建てでの保有となります。
そのため、保有することでポートフォリオ全体の通貨クラス分散の役割も果たしてくれるため、私個人としては気に行っている点です。
【魅力】高い分配金利回り
SPYDの最大の魅力は、高い分配金利回りにあります。
以下のチャートをご覧いただくと分かる通り、10年という長期で見ると、基準価額そのものは米国株インデックスのように大きく右肩上がりで成長しているわけなく、値上がり益だけを考えると魅力的とは言い難い銘柄かもしれません。

(出典:SBI証券)
しかし、その一方でSPYDは、毎年ほぼ安定して分配金を支払い続けています。
基準価額の上昇は緩やかでも、分配金として定期的に現金が手元に入ってくることで、着実にキャッシュフローを生み出している銘柄と言えるでしょう。
私個人としては、評価額が増えていくのを画面上で眺めるだけでなく、
実際に分配金という形でリターンを受け取れる投資先があることで、「お金がきちんと働いてくれている」と実感できるため、精神的な満足度が得られています。
いわばSPYDは、定期的にお小遣いをもらっているような感覚に近く、投資の成果を目に見える形で感じたい方にとって、非常に相性の良いETFだと感じています。
【リスク】市場の成長を十分に取り込めない
続いて、SPYDを保有するにあたってのリスクを考えてみましょう。
以下は、組み入れセクターとその組み入れ比率を表にまとめたものです。
| 順位 | 組み入れセクター | 組入比率(%) |
| 1 | 不動産 | 22.37 |
| 2 | 生活必需品 | 16.54 |
| 3 | 金融 | 15.33 |
| 4 | 公益事業 | 13.07 |
| 5 | ヘルスケア | 8.13 |
| 6 | エネルギー | 6.62 |
| 7 | 素材 | 6.41 |
| 8 | 一般消費財・サービス | 4.01 |
| 9 | コミュニケーション・サービス | 3.88 |
| 10 | 資本財・サービス | 2.31 |
| 11 | 情報技術 | 1.33 |
上記の通り、組み入れ上位セクターは、不動産(約22%)、生活必需品(約16%)、金融(約15%)、公益事業(約13%)といった高配当株の多い業種が上位を占めています。
一方、「情報技術セクター」への投資比率は全体の1%程度と非常に低く抑えられています。
「情報技術セクター」は、GAFAをはじめとした巨大ハイテク企業が多く、その成長性はS&P500構成銘柄の中でも突出しており、今後も市場を牽引していくと見込まれています。
上記の通り、SPYDは「堅実な高配当銘柄」に集中する構成が特徴ですが、その反面として今後の市場成長を十分に取り込めない可能性もあるのが現実です。
【注意点】分配金にかかる税金
SPYDは外国株式のため、分配金受け取りの際には少し注意が必要です。
外国株式の分配金には、米国源泉税がかかるため、以下のように二重課税が発生することとなります。
| 課税段階 | 税率 | 内容 |
| 米国源泉税 | 10% | 米国で差し引かれる税金 |
| 日本国内課税 | 20.315% | 所得税・住民税 |
例えば、分配金が100ドルだった場合、まず初めに米国源泉税が10%分差し引かれ、残り金額に対して日本国内の課税率である20.315%分が差し引かれた残りが実際の受取金額となります。
計算式としては以下の通りで、
結果として71.7165ドル、つまり初めの約71%分が手元に残る計算となります。
手取りは思ったより少なく感じるかもしれません。
計算式:100ドル×(1-0.1)×(1-0.20315)=71.7165ドル
なお、確定申告を行うことで外国税額控除を活用できる場合もありますが、申告に必要となる書類が多く、手間がかかる点は注意が必要です。
分配金ETFを取り入れるという選択肢
長期的な値上がり益や税金を含む経費を比較すると、オルカンやS&P500等の投資信託に軍配が上がるのは事実です。
ただし、「分配金を受け取っている感覚」や「投資の成果を実感したい」というニーズを重視する方にとっては、SPYDも十分に選択肢になり得ます。
投資は、リターンだけでなく「続けやすさ」も大切です。SPYDのように分配金が定期的に入るETFは、投資を習慣化しやすく、モチベーション維持にもつながります。
値上がり益重視の成長型投資と、分配金重視のインカム投資は、目的が異なります。
SPYDは後者に寄ったETFであり、ポートフォリオの一部として組み入れることで、投資の楽しさを実感しやすくなる、そんな銘柄だと私は考えています。

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