まずは、この記事の結論ともいえる「賢明なる投資の8つのルール」をご紹介します。

8項(ハチ公)だワン!
賢明なる投資の8つのルール
- 元本の安全性を最優先にすること
- 財務の健全性・収益性を重視すること
- 割安な銘柄を買うこと
- 高配当銘柄を長期保有すること
- 分散投資を徹底すること
- 制度を最大全活用し、低コストで運用すること
- 市場の流行や感情に流されないこと
- 忠犬ハチ公のように、自分の考えを信じて待つこと
これらは全て、ベンジャミン・グレアムの著書『賢明なる投資家』の原則を現代の市場環境に合わせて整理したものです。
それぞれのルールについて「なぜ重要なのか」「どのように実践すべきか」を、順を追って解説していきます。
① 元本を守ることを最優先にする
投資において最優先すべきは、「いくら儲けるか」ではなく、「いくら失わないか」です。
たとえば、資産が50%減ってしまうと、元の金額に戻すには100%のリターンが必要になります。一度大きな損失を出すと、回復には想像以上の時間と労力がかかります。
これは、グレアムが説いた安全域(マージン・オブ・セーフティ)の考え方であり、
「最悪の事態が起きても致命傷を負わない余白を確保する」ということす。
再起不能になる大きな損失を避けるためにも、私はまず「守る投資」を最優先にしています。
② 財務の健全性・収益性を重視する
財務諸表は企業の健康診断書のような存在です。
売上や利益だけでなく、
・自己資本比率が50%以上
・流動資産比率が200%以上
・営業キャッシュフローが安定して黒字
といった指標を確認することで、企業が長期的に事業を継続できる体力を持っているかを判断できます。
一時的に業績が良く見えても、財務の余力が乏しければ環境変化に耐えられません。市場の変化に惑わされないためには、感覚ではなく、数値を通して本質的価値を見抜く習慣が欠かせません。
(補足)
加えて、現金・預金・有価証券などの換金性の高い流動資産が総資産の30%以上あれば、資金繰りリスクは相対的に低いといえます。
③ 割安な銘柄を買う
「安く買って高く売る」—————投資の大原則です。
どれほど優れた企業であっても、価格が割高であれば投資リターンは期待できません。
そのため、数値で割安性を確認することを重視します。
具体的には、
・PBR(1株当たり純資産)は1倍以下
・PER(1株当たり純利益)は15倍以下
を一つの目安とします。
割高の株式=将来的な成長を期待されている株式ということなので、
その期待を裏切ってしまうと株価が大きく下落していきます。
元本割れのリスクを抑えるためにも、購入時の株価に過度な成長期待が織り込まれていないことが重要となります。
④ 高配当銘柄を長期保有する
・高配当株の条件としては、配当利回り3%(税引後)以上
・長期保有の条件としては、30年以上
※ただし、配当実績があり、減配リスクの少ない銘柄であり続ける場合
配当という目に見えるリターンがあることで、株価の短期的な上下に振り回されにくくなります
また、もし値上がり益が0だったとしても、配当により基本的なリターンを確保できます。
私自身も、日本株・米国株の高配当銘柄を組み合わせ、減配リスクの低い水準(連続増配・減配なしの実績)を意識しながら、安定したキャッシュフローを重視した運用を行っています。
値上がり益を追うのではなく、企業の成長と財務余力に支えられた配当を受け取り続ける。
これが長期投資の基本姿勢です。
⑤ 分散投資を徹底する
分散投資は、リスクを抑えるための鉄則です。
・資産別(値動きや役割の異なる資産)
例:株式、債券、ETF、不動産、コモディティ等
・地域別(経済環境や成長段階の異なる地域)
例:日本、米国、ヨーロッパ、新興国等
・通貨別(為替変動の影響を分散できる通貨)
例:円、米ドル、ユーロ等
これらを組み合わせることで、特定の市場環境に左右されにくいポートフォリオを構築できます。一つの銘柄や資産に集中するのは、一本の橋に全体重を預けるようなものです。
(投資の格言「1つのかごに卵を盛るな」)
複数の選択肢を持っておくことで、予期せぬ市場変動が起きた場合でも、感情に流されにくくなり、冷静な判断と継続的な運用が可能になります。
⑥ 制度を活用し、低コストで運用する
NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用すれば、運用益や配当・分配金を非課税、または税制上有利な形で受け取ることができます。長期投資では、この差が着実に効いてきます。
投資において、確実にコントロールできる数少ない要素がコストです。
市場の値動きや企業業績は左右できませんが、どの制度を使い、どれだけ低コストで運用するかは自分で選べます。
派手さや短期的な高リターンを追うよりも、余計なコストを排除することこそが、賢明なる投資家の王道だと私は考えています。
⑦ 市場の流行や感情に流されない
市場は常に合理的に動いているわけではありません。
恐怖や欲望が市場を支配する局面では、株価は企業の本質的価値から大きく離れてしまいます。
だからこそ大切なのは、ニュースや一時的なブームに振り回されず、あらかじめ決めた自分なりの分析軸と投資ルールを守ることです。
感情に流されないためには、投資前に「なぜこの銘柄を買うのか」「どの条件が崩れたら売るのか」を、簡単なメモで構わないので言葉にしておくと、冷静な判断を保ちやすくなります。
⑧ 忠犬ハチ公のように、自分の考えを信じて待つ
企業の本質的価値が株価に反映されるまでには時間がかかります。
そのため、忠犬ハチ公のようにじっと待つ忍耐力が必要です。
上記7つのルールを徹底し、市場の短期的な変動に振り回されず、忍耐強く長期保有し続けることが最終的に大きな利益を生みます。
まとめ|ルールを持つことが、賢明なる投資家への第一歩
上記8つのルールを徹底して実施する。
この姿勢こそが現代の『賢明なる投資家』であり、私自身が一貫して実践してきた投資スタイルです。
私はUSCPA(米国公認会計士)として、多くの企業の財務を分析すると同時に、実際の投資にも20年以上取り組んできました。
その経験を通じて強く感じているのは、「市場の変化に惑わされず、本質的価値に基づいて判断すること」が、不況時にも揺らがない資産形成につながるという点です。
感情ではなく、ルールに従って行動することで、投資はギャンブルではなく、着実に資産を積み上げる手段へと変わっていきます。
これから新しい投資をしようと思っている方へ
その第一歩として、ぜひこの8つのルールを思い出してみてください。
※注意:
比率等の数値については絶対的なものではなく、あくまで目安です。
現在の市場環境、業界平均値、他社数値等を踏まえて、投資企業の「本質的価値」を見極めることが重要です。

コメント