結論|長期投資で成果を出す人は「儲けること」ではなく「負けないこと」を大切にしている
長期投資で成果を出す人に共通しているのは、 特別な相場観や情報ではありません。
彼らが重視しているのは、 「どう儲けるか」ではなく「どうしたら負けないか」です。

投資では、一度の大きな失敗でお金と時間を大きく失ってしまうことになる、、
つまり、「致命的な失敗を避けること」、これこそが長期投資では重要だね!
本記事では、長期投資で成功する人の思考法を、私がこれまで会計士として培ってきた経験や会計・財務視点から読み解いて解説します。
読み終えた頃には、 長期投資で成功する人と同じ視点で企業や投資判断を捉え、 感情に振り回されない投資に一歩近づいているはずです。
長期投資とは何か|短期売買との決定的な違い
まず長期投資とは、、、
短期間で売買せず、長期にわたって金融資産を保有し続けることです。
長期という言葉の定義に関して、「〇年以上」という明確な定義はないものの、
一般的に数年から数十年という長い期間にわたり、企業や市場の成長を長期的な視点で捉え、金融商品を保有し続けることを指します。
そのためここでは、10年以上の保有を長期投資として定義します。
短期投資にはない、時間の力(複利)を使えることが長期投資の最大のメリットです。

複利については後程詳しく解説するね!
また、短期投資が主に「株価」や「需給」を見るのに対し、 長期投資ではより「企業自体の価値」が重視されます。
例えば、以下のように企業の内部環境(財務の健全性や事業の成長性)、外部環境(景気動向や競合優位性)が長期投資をするうえで重要になります。
- 元本が大きく毀損する可能性は低いか
- 財務構造は長期保有に耐えうるか
- 景気後退や環境変化を乗り越えられる事業か
上記の通り、長期投資とは、時間の力(複利)を最大限に活用し、
財務的に健全で、長期的に利益とキャッシュを生み続けられる企業に投資を行うことであるといえます。
長期投資で成功する人が身につけている3つの思考習慣
※以前ブログで紹介した「賢明なる投資犬の8つのルール」でも、長期投資を推奨していますが、 本記事ではそれを支える思考の背景に焦点を当てています。
賢明なる投資犬8つのルールについては以下の通り。
【関連記事】賢明なる投資の8つのルール – 渋谷の賢明なる投資犬
① 損失の許容度を決める(ロスカット基準)
長期投資で成功する人は、「いくら損したら売却するか」という損切り(ロスカット)の基準を先に考えます。
損切の基準を決めることは以下の面で非常に重要です。
・損失の限定:
致命的な損失を防ぎ、資金を守れる
・資金の効率化:
損失銘柄に資金を投下したままにせず、より有望な銘柄に再投資できる
・感情のコントロール:
いつか戻るという期待を排除し、冷静さを保てる
とはいえ、含み損を抱えた銘柄を売却することは簡単ではありません。
「この後に上がるかもしれない」という期待が、冷静な判断を妨げるからです。
しかし、判断を先送りすることで損失がさらに拡大し、 結果として回復が難しいダメージを負う可能性もあります。
だからこそ、投資を始める段階であらかじめ基準を定め、 感情を排して判断できる状態を作っておくことが重要です。
この姿勢こそが結局は、資本を守り、次の有益な投資機会へとつながっていくのです。
② 「成長率」よりも「耐久性」を数字で確認する
長期投資家が重視するのは、売上成長率や話題性ではありません。
景気後退や外部環境の変化が起きたときに、どれだけ耐えられる財務構造か──この一点です。
会計・財務の視点では、企業の「耐久性」は主に次の数値に表れます。
- 自己資本比率:損失が発生しても、借入に頼り切らず事業を継続できる体力があるか
- 営業キャッシュフロー:本業から安定的かつ継続的に現金を生み出せているか
- 利益構造:一過性の要因ではなく、事業活動そのものから利益が積み上がる仕組みになっているか
売上成長率が高くても、自己資本が薄く、キャッシュフローが不安定な企業が、たった一度の業績悪化で資金繰りに行き詰まるケースを数多く目にします。
短期的に急成長する企業は、常に市場の注目を集めますが、
会計・監査の現場で見えてくるのは、成長スピードの速さと企業の生存確率は、必ずしも比例しないという現実です。
利益がいくら出ていても、企業内部の財務構造が不安定であれば、長期的な事業基盤を築くことは難しいのです。
だからこそ長期投資では、 「今どれだけ伸びているか」ではなく、「環境が悪化したときに、どれだけ耐えられるか」を数字で確認することが、最優先事項になるのです。
【図表】財務悪化パターン vs 生き残る企業(会計・財務視点)
| 観点 | 財務が悪化しやすい企業 | 長期的に生き残る企業 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 50%以下 自己資本よりも負債が多く、借入依存が強い | 50%以上 自己資本よりも負債が少なく、自己資本依存が強い |
| ROE(自己資本利益率) | 10%以下 自己資本の活用が非効率で、利益が出ていない 「稼ぐ力」が弱い | 10%以上 自己資本を効率的に活用し、利益につなげている。 「稼ぐ力」が強い |
| 営業キャッシュフロー | 利益が出ていてもマイナスが続く | 安定してプラスを確保 |
| 流動資産比率 | 流動資産が少なく(流動負債の2倍以下)、短期返済が集中している 資金繰りが不安定 | 流動資産が多く(流動負債の2倍以上)、返済スケジュールに余裕がある。 資金繰りが安定 |
| 配当・内部留保 | 無配当、もしくは利益減少が続いている割に配当金が高く、企業資金がひっ迫している | 増配、もしくは安定して配当金を出しており、内部留保とのバランスが取れている |
この図表が示しているのは、 「成長しているかどうか」ではなく、 環境が悪化した局面で資本とキャッシュを守れる構造かどうかが、 企業の生存を分けているという事実です。
③ 複利と配当の力を数字で理解している
長期投資で成功する人は、
①複利の力が活用できる、②配当金がもらえるという点で
長期投資のメリット・合理性を理解しています。
複利:「続けられる人」にだけ味方する
仮に、年利5%で資産運用できた場合、
- 10年後:1.05¹⁰ ≒ 1.63倍
- 20年後:1.05²⁰ ≒ 2.65倍
- 30年後:1.05³⁰ ≒ 4.32倍
となります。
このように、年5%ほどの利益率が時間を味方につけることで、2倍、3倍にも膨れ上がるのです。
この倍率は、 100万円でも、1,000万円でも、1億円でも同じです。
複利は、 優れた売買判断よりも、 続けられるどうか、それだけで多くの利益をもたらしてくれます。
配当金:毎年もらえるお小遣い
例えば配当利回り4%とは、 株価が横ばいでも、毎年投資額の4%が現金で戻ってくる状態を意味します。
10年間保有した場合、
- 再投資しない前提でも:約40%
- 再投資できれば:複利効果により40%超
のリターンが、株価の値動きとは独立して積み上がります。
一般的に 配当金は
- 営業キャッシュフロー
- 利益剰余金
から支払われます。
つまり、 継続配当ができる企業とは、本業で安定的に現金を生み出している企業である可能性が高いのです。
上記の通り、長期投資家は、 「長く持てばそのうち報われる」といった 曖昧な期待で投資しているわけではありません。
- 複利が効き始めるまでの期間
- 配当が積み上がるスピード
- 売買コストが長期リターンに与える影響
を、具体的な数字として理解しています。
だからこそ、 短期的な下落局面でも投資方針を変えず、 時間を味方につけることができ、
短期投資にはないメリットを最大限享受できるのです。
まとめ|長期投資は「考え方」が成果を左右する
長期投資は派手ではありません。
この記事で解説してきた思考法は、「この銘柄を買えば儲かる」といった即効性のある答えを与えてくれるものではありません。
しかし、企業の実力を数字で見抜き、致命的な失敗を避け、成功の確率を高めるという点においては非常に有用です。
この思考法を理解することができれば、企業の本質を見抜き、時間を味方につけて大きな利益を上げることができるでしょう。
再現性が高く、最も合理的な資産形成の方法だからこそ、限られた時間と資金で運用する、個人投資家が持つべき思考です。
このように、会計・財務の視点で企業が持つ可能性を数字で理解し、負けない投資を心掛けている投資家こそ、企業の成長に投資ができる、先見の明を持った長期投資家なのです。

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