近年、銀行株が力強く上昇しています。
「低成長・低金利の象徴」と見られてきた銀行株ですが、なぜ今これほど注目されているのでしょうか。
今回は銀行株の高騰はいつまで続くのかをテーマに、大手銀行3行と株価上昇の背景について解説します。

銀行株は、2023年頃から金利上昇を後追いするように勢いよく上昇しています。この記事では金利上昇以外の株価上昇要因、今後の展望についても掘り下げていきます!
1.大手銀行3行の現状を一覧で整理
まずは、「3大メガバンク」と呼ばれる三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行について、銘柄の現状を一覧で整理します。
| 銀行名 | 時価総額 | 株価(2026年1月9日終値) | 特徴 | 株価上昇率(2021年~現在までの5年間) |
|---|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 31.35兆円 | 2,642円 | ・国内最大手 ・海外拠点に強み(アジアを中心に40か国以上に拠点を展開) | +443% |
| 三井住友銀行 | 20.26兆円 | 5,253円 | ・リテール業務(個人・法人)に強み | +352% |
| みずほ銀行 | 15.42兆円 | 6,195円 | ・銀行・信託・証券の一体運営 ・地方公共団体との強固な関係性 | +335% |
以下表は、3大メガバンクの2021年~現在までの5年間の株価推移を比較したものです。

(出典:Google Finance)
メガバンクの中では三菱UFJ銀行が最も上昇しており、次いで三井住友銀行、みずほ銀行となっています。
2021年~現在までの5年間でどの銘柄も株価は3倍以上上昇しており、銀行株が勢いよく伸びていることがわかります。
かくいう私も2020年6月15日に三菱UFJ銀行を1株434円で500株購入。
購入時は、
・大手銀行の株を1株たったの434円で買えるのはお得かも。
・配当も3%以上ある優良株だし、日本最大手の銀行が倒産する確率は低いだろう。
くらいの感覚で購入しました。
しかし、購入時~現在にわたるまで銀行株は爆上がり。
- 取得金額:434円 × 500株 = 217,000円
- 現在価格:2,642円 × 500株 = 1,321,000円
値上がり益は1,104,000円となり、銀行株上昇の恩恵を受けました。
2.銀行株上昇の背景と要因
銀行株の転換点はやはり、日本の長期金利の上昇でしょう。
金利上昇に伴う銀行への影響は主に以下2つであり、金利上昇⇒収益増となり、業績とともに株価も上がりやすくなるのです。
・貸出金利上昇による収益増:
政策金利の上昇に伴い、銀行が企業や個人に貸し出す際の金利(貸出金利)が上昇し、収益増につながります。
・利ざや拡大による収益増:
預金金利の上昇は貸出金利と比べて緩やかなため、その差(利ざや)が広がり、銀行の収益が増えやすくなります。特に企業向けローンが多い銀行は恩恵を受けやすいです。
それでは実際に金利上昇が銀行株価上昇につながったのでしょうか。
以下は、2021年~2026年までの約5年間の日本の長期金利(10年国債利回り)の推移です。2023年頃より徐々に上昇しており、銀行株が上昇した時期と重なっています。
長期金利(10年国債利回り)上昇の背景は、日銀の政策金利が2024年4月に0%⇒0.1%、続く2024年7月には0.25%、2025年1月には0.5%、現在(2026年1月)では0.75%と継続的に利上げされてきたことが要因です。
■日本10年国債利回り

(出典:SBI証券 日本国債10年チャート図)
ここで日本のこれまでの金融政策と長期金利上昇までの過去の経緯を整理します。
日銀は長らく、黒田前総裁の下で「量的・質的金融緩和」、いわゆる異次元の金融緩和を採用し続けてきました。
この政策のもと、日本はマイナス金利を含む超低金利の時代が長期間続いておりました。
しかし、2023年4月に植田新総裁が就任すると、金融政策は大きな転換点を迎えます。
長年続いてきた超低金利政策の「正常化」が明確な方向性として示され、2024年3月の金融政策決定会合ではゼロ金利政策が解除されました。
これにより、短期金利の誘導目標は0~0.1%に設定され、日本は実に久しぶりにプラス金利の世界へと戻ったのです。
中央銀行である日銀が政策金利を引き上げると、その影響は金融市場全体へ波及し、市場金利(預金金利、貸出金利)ともに上昇していきます。
預金金利と貸出金利の差が、銀行にとっての利ざや(収益の源泉)になりますが、超低金利時代はこの差がほとんど出ませんでした。
しかし、日銀による利上げが開始され、金利が上昇局面に入ると、金利差が徐々に拡大。
銀行の収益改善が期待されるようになり、日銀の政策金利上昇を後追いするように、2023年頃から3代メガバンクをはじめとする銀行株が上昇したのです。
3.2026年に入っても銀行株は強いのはなぜ?
2023年頃から始まった銀行株の上昇ですが、2026年に入っても依然として堅調な姿勢を維持しています。
理由は、大きく3つあります。
①日銀の金融政策と利上げ期待
2025年12月19日、日本銀行は金融政策決定会合で、0.25%の政策金利引き上げを決定。約30年ぶりの水準へ政策金利が引き上げられました。
また、会合の中では追加利上げに前向きな姿勢を示していることも示唆されており、2026年に追加の利上げが予想されています。
これにより、さらに銀行の業績好調が予想され、それに伴い株価も上昇しています。
②インフレと円安の追い風
インフレが進むと、物価上昇に伴い企業の売上や利益は拡大しやすくなります。その結果、設備投資や運転資金のための借入需要が増え、銀行の貸出残高が伸びやすくなります。
さらに円安局面では、海外で稼いだ利益を円に換算した際の金額が膨らむため、海外事業比率の高い銀行ほど収益が押し上げられます。
こうしたインフレに伴う「資金需要の増加」、円安に伴う「外貨建て収益の円換算効果」が、銀行株上昇の後押しとなっています。
③中期経営計画と株主還元
3大メガバンクはいずれも最新の中期経営計画で、株主還元を明確な経営目標として掲げています。
・三菱UFJ銀行:ROE改善を軸に、安定配当の維持と機動的な自社株取得を組み合わせる方針を打ち出しています。
・三井住友銀行:利益成長と資本効率の両立を重視し、累進配当と自己株式取得を通じて総還元額の拡大を明確に示しています。
・みずほ銀行:構造改革の進展を背景に、配当性向の引き上げと株主還元の安定化を強調しています。
これらの方針に共通するのは「稼いだ利益を株主に還元する」という姿勢であり、これが銀行株に資金が集まる大きな要因となっています。
4.銀行株のメリット・デメリットを整理
ここで一度、投資するならという視点から、
銀行株投資のメリットとデメリットを整理します。
メリット
- 金利上昇の恩恵を直接受ける:利ざや拡大は利益に直結
- 配当利回りが高い:安定したインカム収入が期待できる
- 業績の見通しが立てやすい:マクロ環境と業績の連動性が高い
デメリット
- 景気後退に弱い:貸倒れリスクが顕在化しやすい
- 金融政策の影響が大きい:日銀の判断次第で評価が変わる
- 急成長は期待しにくい:ハイテク株のような爆発力はない
つまり、銀行株は「一攫千金」を狙う投資ではなく、環境を味方につけて着実にリターンを積み上げる投資だといえます。
5.銀行株に向いている人はどんな人?
以上を踏まえると、銀行株に向いているのは次のような投資家です。
・配当と値上がり益のバランスを重視したい人
・金利・インフレなど日本の政策や景気動向を考えるのが苦にならない人
・短期売買ではなく、中長期で資産形成をしたい人
一方で、
- 短期間で大きな値幅を狙いたい人
- テーマ性や話題性を重視する人
には、やや物足りなく感じる可能性があります。
6.銀行株の高騰はこれからも続くのか
今後については、
- 金利が緩やかに上昇・高止まりする局面では、利ざや改善効果が持続しやすい
- インフレとGDP成長が続けば、企業の資金需要が底堅く、貸出残高の増加が期待できる
- 各行の株主還元強化(配当・自社株買い)が下値を支えやすい
以上を踏まえると、短期的な調整はあっても、構造的には銀行株にとって比較的安定した環境が続くと考えています。
一方で、世界的な景気後退や金融ショックが起これば、一時的な調整は避けられません。
銀行株はかつての「構造的に弱い業界」から、環境次第で安定的に稼げる業界へと変わりました。この変化は一時的なブームではなく、構造的な転換だといえるでしょう。
まとめ
銀行株は、金利上昇・インフレ・金融政策の転換という大きな環境変化を背景に、再び市場から評価される存在となりました。
かつての超低金利時代には利ざやが出にくく、成長が期待されにくい業種でしたが、現在は金利上昇に伴い、本来の収益力を発揮しやすい局面に入っています。
今後の銀行株との向き合い方ですが、投資の基本姿勢と同様に、
「なんとなく」ではなく、
- 金利や景気と業績の関係を理解すること
- 自分の投資スタイル(安定性・配当・成長性)に合った銀行株(銘柄)を選ぶこと
が非常に重要です。
3大メガバンクはいずれも、収益体質の改善と株主還元を経営の中心に据え、過去とは別物の企業へと変化しています。
これからは、日々の株価の上下に一喜一憂するよりも、日本の景気や金利の流れとともに、企業自体の価値が高まっていくかどうかを見ることが大切です。
そのような中長期的な視点で保有することで、銀行株は資産全体を安定させる「土台」のような存在になってくれるでしょう。


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